第二十一夜 – Pの香りで鬼ピコるの巻(2009.10.30)

Drive to 2010

第二十一夜 – Pの香りで鬼ピコるの巻(2009.10.30)
さてDrive to 2010第二十一夜は、今イベントにおける最大(自分的に)の
目玉企画「平沢進プレゼンツ」でございます。ヒラサワ師匠がプロデュース
したバンドからP-MODELの元メンバーまで「P属性」な人間がてんこ盛り、
ということで、こりゃ風邪ひいて寝てる場合じゃーないっスよ!起床っっ!

…まあ、ヒラサワ本人は出演しないんですけどね。いつものことだ。
http://www.driveto2010.com/artists/1028/artists.htm

<LIVE STAGE>
・PEVO
・シャンプー
・中野テルヲ
・4-D mode1 (平沢進・ビデオ出演)

<BAR STAGE>

・アニュウリズム
・喉笛チェインソ
・マリア・ハト
・小さいテレーズ

一組目は「PEVO」



Shop Mecanoで存在を知って以来ずっと胸がトキメキ続けていましたが
ようやく生で拝見することができました。よもや21世紀にここまで完璧に
80’sなテイストを再現したライブを拝めようとは!

まあDEVO及び初期P-MODELの「パロディ」だと言ってしまえばそれまで

なんですが、そういったモノに対するストレートな愛情表現から発生しつつ
も「当時の空気感」や「ケレン味」をズップリ深く理解した上で独自の楽曲
やパフォーマンスをひねり出しているあたり、単なるコピーバンドとは一線
を画す面白さがあったように思います。というか、ここまでビョーキみたい
に「ニューウェイヴな芸風」にこだわってるバンドも他に無いと思うので、
ある意味既に「オリジナル」と言い切ってOKなのかもしれませんね(笑)
人力ヴォコーダー、ステキです。

次は平沢プロデュースで79年にデビューした「shampoo」

>
話には聞いていたものの、実際に見るのも聞くのも初めてだったのですが
ノイズ/エレクトロニカ的な音にウェットでダークなボーカルと、何だか
4AD的な匂いがして個人的にはかなり好印象でした。もっとアッパー系に
ピコピコした音かと思ってたんですが、良い意味で意表を突かれましたね。
ヒラサワ人脈も底が深いなあ。

そしていよいよ元P-MODEL組「中野テルヲ」氏の登場!


P-MODELやロンバケは聴いていたものの、中野さんのソロってどんな感じ
なのか全然知らなかったわけなのですが、これがもう自分のツボに大当たり。
超音波センサーへの手かざしにより、短波ラジオやハンドメイド・デバイス
群を即時に制御する独自の演奏スタイル、とのことで、要するに「全機材が
テルミン」な状況なんですが、両腕を「ズビシっ!」と決めるたびに音像が
劇的に変化していく様はかなり凄い、てかヤバいです。ヤバカッコイイ!!
こんなのやってるのって、世界でもたぶんこの人だけなんじゃなかろうか。
まあ、仕組みを知らない人から見たら「ステージ上でいきなりカッコイイ
ポーズを決めたり両腕をグルグル回したりするアヤシいメガネ男性」以外
の何者でもなかったわけですが。芸風がヒラサワ師匠と被るよなあ(笑)

音色自体もダンスミュージックともエレクトロニカとも、最近の可愛い系
テクノポップとも異質な「脳にザラザラ来る電子ノイズの奔流」みたいな
感じで、非常に好みのタイプでした。この世代(というかP周辺の方々)
の作る音って、何というか「業が深い」感じですよね。

終盤、P-MODELの「MONSTER A GO GO」に「Another Day」まで

演ってくれたのには感激。「合言葉は【消えちゃいました】」キタ!
これだけで今日来た甲斐があったというものです。

と、この時点で激しく動き過ぎて全身ガクガクな状態だったわけですが
休む間もなく本日のワタクシ的メインアクト「4-D mode1」が登場。


メンバーは小西健司(ex P-MODEL)/成田忍(ex URBAN DANCE)
そして横川理彦(ex P-MODEL、メトロファルス) という最強の布陣。
こりゃもう自分的にはアレですよ、イクラ丼にフォアグラ乗っけて上から
生クリームかけてイチゴ添えました的な贅沢ですよ。有り難や有り難や。

電子音の洪水に重なるヴァイオリンとギター。決して全面には出てこない
ものの存在感のあるヴォーカル。ああああ気持ち良過ぎるっ。既に全身が
ヘロヘロになってる状態なんだけど、ついつい身体が動いてしまう不思議。
もうこのまま力尽きて死んじゃっても別にいいやえへへへへへ。みたいな。

そしてついに本日の主催・平沢進がスペシャルゲストとして登場!…映像で。
場内にどよめきと笑いを巻き起こしつつ、本人不在のままセッション開始。
映像の中で黙々とギター弾く御大。ライトハンドでペレペレ弾いたりと結構
小技を繰り出したりもするんですが、無表情です。相変わらずです。つーか
ここまで凝った映像作ってセッションするんだったら、いっそ出演した方が
早いんじゃないの?とか思ったりもしますが、そこはそれヒラサワですから。
自分の名を冠したイベントにもかかわららず(であるからこそ?)、断固
としてマトモな出演はしないというこのヒネクレっぷり。やはりただ者では
ありません。思えばDrive to 2000の時も、WEB配信やら何やら「スーパー
バイザー」みたいな感じでイベントにどっぷり関わっておきながら結局出演
しなかったもんなあ。見事なまでの「へそまがり」っぷりで御座居ます。
まあ「ファンに対して異様にフレンドリーな平沢進」というのも、それは
それで気持ち悪くて面白いんで、ちょっと見てみたい気もしますが(笑)

というわけで怒濤の二十一夜も無事終了。何というか、本日のみならずこの
「Drive to 2010」というイベントでP-MODEL付近から排出された様々な
人材が、その経験を基盤として独自のベクトルで突き進み多種多様な音楽を
作っているのを見るにつけ、改めてこのバンドの存在の大きさを実感させら
れた気がします。現在バンドとしてのP-MODELは既に存在していませんが
こういった様々な「P-MODEL要素を孕んだ存在」を網の目状に繋いだ巨大
な「音楽複合体」こそが今現在における「P-MODEL」の姿なのだと言える
のかもしれないなー、とか思ってみたり。個体としてではなく、1つの「種」
としての在り方へとシフトしたわけですね。反面、単一個体進化の極みが
「ヒカシュー」だと言えるかも。(自分的にはどっちも好きなんですが)

平沢ソロも核Pも中野さんも4-Dも、Soyuzもプノンペンモデルも、さらには
PEVOやPOLYSICSなど直接影響を受けたものも、全て「P-MODEL」という
多様体の1つの面であると解釈するならば、これら「派生した多様性」が一様
に滅び去るまでは「種」それ自体は残り続けるわけで、ある意味「不死性」を
手に入れたと言っても過言ではないのかもしれません。全にして個。色即是P。
これぞまさしく「ホモ・ゲシュタルト(注)」ですな(おおオチがついた!)

今後、平沢氏が死んじゃってP-MODELという名前が完全に忘れ去られた後に
なってもP因子を孕んだバリエーションはさらに増え続けていくのでしょうね。
たぶん「Drive to 2050」とかそのあたりになっても、元ネタなぞ全く知らず
にPモデっちゃってる奇特な奴らがいるのだろーなー、とか考えると楽しみで
楽しみで仕方ありません。なんだか長生きしたくなってきた今日この頃(笑)

※注:「HOMO GESTALT」 アルバム「big body」収録。名曲。


コメント

2009年10月31日 09:28
ご来場ありがとうございました。
PEVOを目撃してくれてありがとうテラヴス!!

また目撃してくださいね♪


maru 2009年10月31日 17:42
わわ、コメントありがとうございます!
のっけから心底楽しませて頂きました。

次に目撃する日を楽しみにしております。


2009年11月02日 07:17
ちょっと!コレ!!!

>★11月10日(火) <東京オリエンタル サロン>
S-KEN&HOT BOMBOMS(ゲスト:こだま和文)
PLASTIC SEX featuring 野宮真貴
HUMAN BEAT JUMBO BAND
DJ:朝本浩文(ex MUTE BEAT)、森雅樹(EGO-WRAPPIN’)
<BAR STAGE>
Black Velvets(田中邦和・テラシィィ・ヲノサトル・山口とも)

プラスチックス!是非ルポしてきてよ!!

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